今回は塗装の下地作りについて書いていきます。
前回の記事は↓
塗装剥離まで終わったらもう余裕だろと思っていましたが、全然そんなことなかった。
1回目に挑戦して大失敗したので、塗料などを買い直して2回目で上手くいきました。余計な時間と費用がかかった。
塗装における下地作りはきれいな塗膜を作る上でとても大事な工程です。
例にもれず大変な作業です。
作業に夢中で写真が少ないですが悪しからず…
実際の作業
ここから実際に行った作業を紹介します。
まず紹介するのは成功した2回目の作業。失敗は後述します。
パテで目止め
このギターの材はセンというもので、アッシュやマホガニーの様に深い導管を持っています。
塗料の吸い込みや、凹凸をなくすために、パテを使って目止めを行いました。
1回目、との粉を使って目止めをやってみましたが、上手くいかなかったのでパテを使っています。
ヘラを使って、しっかりと導管に押し込むイメージでパテを盛っていきます。
盛りすぎてしまうと、削るのが大変だし乾燥も遅いので、なるべく薄めに盛るのが良さそう。(厚めに盛ってしまい大変でした。)
1晩ほど乾燥させたら、120〜240番のペーパーで余計なパテを落としていきます。
写真だと分かりづらいですが、導管の凹みがパテで埋まりました。
パテを削るのは大変だけど、との粉でやるよりしっかりとヘコみを埋めることができました。
最後に400番程度の空研ぎペーパーで木地を整えます。
当て木を使用し、力を抜いて表面を均すイメージで作業しました。
このときにヘコみやキズなどを確認し、発見した場合は再度パテで修正します。
プライマーを吹く
導管埋めが終わったら、塗料の吸い込みを抑える木部用プライマーを吹きます。
吹き付ける前に、固く絞った雑巾等で削りカスなどをしっかり落とします。
落とし終わったら素手で触れないように気をつけましょう。
スプレーの作業はどこかに吊るして行うのが楽なので、適当な木片をネックジョイント部でネジ止めし、それに紐を通して吊るしました。
薄めに吹き付けることを意識し、数回に分けて作業します。
一度に大量に吹き付けるとタレや乾燥不良の原因になってしまうので注意。
薄く吹く→30分乾かす→薄く吹く…
といった感じで、合間合間の乾燥時間もしっかりとったほうが失敗が少なそうです。
丸々1缶分吹付けて、24時間くらい乾かしました。
乾燥後、表面が毛羽立ってザラザラ、トゲトゲしてたので、600番くらいのペーパーでなめらかな手触りになるまで軽く研磨しました。
ラッカークリア(サンディングシーラー)を吹く
サンディングシーラーの代わりにラッカークリアを吹き付けました。
昔のフェンダーはこの方法をとっていたらしい。
使用したスプレーは近所のホームセンターで298円で売ってたやつ。
サンディングシーラーのほうが乾燥が早いし、柔らかく削りやすく簡単に平面を作る事ができます。逆にラッカークリアは乾燥が遅いし、塗膜が固く削るのも大変。
せっかくやるならと、大変な方を選んでしまいました。
ラッカークリアも上記と同じ感じで吹いていきました。
薄く吹く→30分乾かす→薄く吹く→45分乾かす→薄く吹く→60分…
乾燥時間はこんな感じでだんだん増やしました。
凹凸を埋めるために結構厚く吹かなきゃいけないので、焦らずしっかりと途中の乾燥時間を取ります。
厚めに吹き付けるので、しっかりと乾燥時間を取り2日くらいかけて3缶分吹き付けました。
下地の最終作業:研磨で平面を出す
サンディングシーラー代わりのラッカークリアを塗り終え、3日間ほど乾燥させました。
厚く盛った塗膜を削り、表面を平滑していきます。
使用したペーパーは耐水400番
数滴程度の食器用洗剤を水で薄めて、滑りを良くします。
全体的に艶がなくなって、均一な表面になったら下地作りは完了です。
挑戦1度目の大失敗
最初に書いたように、1度目の下地作りで大失敗をして、1からやり直す羽目になったので紹介します。
失敗に気づいたときは、もうほんとに諦めようと思った。
導管埋めが不十分
まず、大失敗の根本の原因は導管埋めが不十分なことでした。
との粉を使って導管を埋めてみたんですが、埋まっているのか埋まっていないのか、いまいち手応えが無いままに作業していました。
との粉は火山灰のような細かい粉を水で溶いて使うんだけど、塗料のように粘着性がないので、いまいちしっかりと導管に食いついてくれないような感じ。
そもそも、なんでもとは西洋の楽器であるギターに、純国産っぽいとの粉をつかうのかちょっと疑問だったりもしました。
本場はフィラーという溶きパテのようなものを使うらしいです。
ネットでギターの下地作りを調べると、との粉で導管を埋めて、上手く作業されてる方がたくさんいるので、単純に僕の技術不足なところも大きいとは思いますが、パテを使って導管を埋めるほうが、経験の浅い人には確実かも。
ラッカーの厚塗、不十分な乾燥時間
との粉で上手く埋まりきらなかった凹凸を、サンディングシーラー代わりのラッカークリアで埋めてしまおうと、大量の塗料(5缶分)を吹き付けました。
吹き付けの合間合間の乾燥時間も十分に取らず、たっぷり厚塗りしてしまったので、ラッカーが硬化不良を起こしてしまいました。
1週間ほどして、いざ研磨を始めてみると、まだ塗膜が柔らかい。
硬化不良を起こすと、ヤスリを当てても削りカスが粉にならず、消しカスのようなものが出ます。
この段階で失敗を悟り、今まで吹き付けた塗料を一旦全部剥がし、1から作業することに。
実は、との粉を乾燥させて、木部用プライマーを吹いた時点で、ちょっと雲行きが怪しい気もしていましたが、だましだましで作業を進めてしまいました。
そのせいで、失敗したあとのリカバリーも大変だし、余分な塗料代もかかってしまうという最悪な結果になりました。
ちょっとでもおかしいと思ったことがあれば、一度立ち止まり、しっかりと状況を把握するのが大事です。
何事にも言えることですが僕は苦手です。
そもそもリフィニッシュをしなければこんなことにはならないので、よく考えてから実行しましょう!
次回、着色・研磨編↓