前回、僕がリフィニッシュを始めた理由や、準備について書きました。
今回から、実際に行った作業を順に紹介していきます。
リフィニッシュの始めは塗装剥離。
めちゃくちゃ大変で初っ端から気持ちが折れそうでした。
塗装を剥がしはじめてしまったらもう後戻りはできません。
塗装の剥離方法は主に3つ
ギターの塗装を剥がす方法は主に3通りあります。
- 薬剤で塗装を溶かす
- ひたすらヤスリがけして削る
- アイロンで温めてヘラ等で剥がす
まず、薬剤を使って塗装を剥がすやり方、これは一番物理的に楽に済む方法だと思います。
でも、この薬剤は非常に毒性が強いので、肌に直接ついたり目に入ったりすると結構危険。
廃棄方法も普通のゴミとは異なる場合があるので注意が必要だったりと、作業自体は楽でも、いろいろとめんどくさい事が多いようです。
次に、ひたすらヤスリがけして削る方法
この方法は一番安上がりで確実ですが、一番労力が必要。
もともとの塗装が分厚いポリ塗装だったりすると、わりと無理があるくらい時間がかかります。
もとの塗装ががラッカーの場合は、ヤスリがすぐに目詰まりしてしまい、この方法はあまり向いていないらしいです。
薄いポリ塗装なんかはこの方法がいいかもしれません。
最後に、アイロンで塗膜を温めてヘラで剥がす方法
僕はこの方法でやってみました。
熱で塗膜を柔らかくして、スクレーパー等で剥がしていくやり方です。
この方法はラッカーにもポリにも有効で、分厚い塗膜も割と簡単にはがせるそうです。
ヤスリですべての塗膜を削り取るよりも、短い時間で剥離が終わりそうだったので、この方法を試しました。
実際の作業
前置きがだいぶ長くなりましたが、ここから実際の作業を書いていきます。
僕はアイロンとヤスリで剥がす方法を選びました。
まず、今ある塗膜をアイロンで温めていきます。
様子をみつつ塗装が柔らかくなったとことで、スクレーパーで剥いでいきます。
アイロンが当てられるのは平面だけなので、ボディの裏面からはじめました。
アイロンを当てすぎると木まで焦がしてしまう場合もあるので、慎重に温める時間は調整しましょう。
スクレーパーも力みすぎたり角度を立て過ぎたりすると、木までえぐってしまうので、塗膜が硬い場合は温めなおし、焦らずにゆっくりやったほうが良いです。
どうやらアイロンの熱が通用するのは表面の着色層だけのようで、下地のサンディングシーラーの層はスクレーパーでは歯が立ちませんでした。
残ったサンディングシーラーはヤスリ(120番)で削りました。
平面を崩さないため当て木を使用します。
この下地の層が凶悪で、めちゃくちゃ硬い上にそこそこ厚い。
この面だけで、3時間はこすり続けたと思います。
ランダムサンダーがあれば、もっと楽に、早く作業できたと思います。
3000円位をケチって手で削りましたが、この値段なら買うことをおすすめします。
表面も同様の工程で進めていきました。
この色が薄くなっているところが木地で、少し濃い部分がシーラー層です。
アイロンが当たらないボディサイド、コンター、カッタウェイ部分はヒートガンを使えばスクレーパーで削れますが、ここもケチって全部ヤスリで削っちゃいました。
カッタウェイ部分などは、ヒートガンで温めてもスクレーパーを扱うのが難しそうだったので、なれてない人はヤスリで削るのが良さそう。
実家の物置から、電動ドリルで使えるヤスリを発掘したので、曲面部分はこれを使いました。
人力に比べると圧倒的パワーですが、削りすぎに注意です。
サイド部分の塗装が削れたところで、塗装剥離は完了しました。
完全に塗装が剥離されると、手触りが木材特有のサラサラした優しい感じに変わります。
塗装を剥いでみると、木目がきれいなセンター2ピースボディでした。
材はおそらくセンです。
画像で見ると一瞬だけど、全部で10時間以上は作業しました。
塗装剥離は舐めてかかってはだめです。めちゃくちゃ疲れます。
やめておいたほうがいいです。
塗装剥離での失敗
一見きれいに塗装が剥がれているように見えますが、ちゃんと失敗してます。
典型的な失敗で、角を削りすぎてしまいました。
作業中は気づきませんでしたが、カッタウェイ内側部分ボディバック側をやってしまって、ネックジョイントプレートの端が若干浮いてしまっています。
気をつけてはいましたが、夢中になりすぎて削りすぎてしまったようです。
割と致命的ミスです。
塗膜が簡単に剥がれないので、ガシガシ勢いにまかせて削ってしまいましたが、冷静な気持ちを忘れずに丁寧な作業をするべきでした。
幸い楽器の機能としてはそこまで支障が出ない範囲に収まっていたので良かったです。
塗装剥離はめちゃくちゃ大変です。
後悔する前に冷静になりましょう。
次回は下地作りについて書いていきます。